全体管理組合の管理部分について
2025年5月18日 考える会 配布資料
最近全体管理組合の支出が大幅に増加する動きがあります。D棟の施設の改修・修繕が大きいですが、本当に全体管理組合が負担すべきものなのでしょうか?
D棟は全体管理組合の共用部分であり、普通の居住用マンションならば管理組合が管理するのは当然です。その根拠となる区分所有法19条によると、一部の区分所有者が単独で共用部分を使用して、自分の利益を得ることはできません。
区分所有者である共立が自身の共用部分であるD棟を自主的に管理して、収益を上げていると思っている人は多いと思います。それだと区分所有法に違反してしまいます。
管理規約附則6条22項に「但し、本マンションのD棟は以前から株式会社共立メンテナンスがホテルの施設として管理・運営を行ってきたものであり、今後も同社に第三者無償使用を認める」とあります。すなわち、共立が区分所有者としてではなく、第三者であるホテル運営会社として、管理組合からD棟の無償使用権を与えられることにより、合法的にD棟を管理し収益を上げることが出来るのです。
全体管理組合理事には共立社員もいますが、全体管理組合とホテル運営会社は違う団体であるという自覚を厳しく持って、理事としては組合の為に業務を遂行すべきです。
無償使用権が与えられた場合、維持管理は借主(ホテル運営会社)が行います。貸主(全体管理組合)は管理を行わず、修繕義務はありません。

(図の注釈 上から)できればPDFで見てください
各区分所有者の負担比率(55/45)は登記上の持分によって決まり、変えられません。全員で共通の目的を持ちます。単独で共用部分を管理できません。
「共用部分」は原則として管理組合が管理・収益します
全体管理組合は無償使用部分を除いて、建物躯体、浄化槽、敷地などを管理します
ホテル営業に必要な施設・設備はホテル運営会社に無償使用権が設定されています
ホテルは組合員としてではなく、第三者として施設を管理・収益します。収支を組合に報告する必要はありません
これだけはわかって貰いたい事3つ
2025年6月16日
1 組合員としてのA棟区分所有者とホテル運営会社は別の存在である
根拠は附則6条22項。A棟区分所有者とBC棟区分所有者とからなる全体管理組合が、ホテル運営会社に共用部分の一部を第三者無償貸出している。
2 D棟ホテル施設を管理しているのはホテル運営会社。理論上も現実も
運営継続のためにホテルが現実に施設を管理している。修繕の一部は組合実施の形になっているが、ホテルの設備部門が提案し施工している。
3 「管理」から修繕を除く根拠は無い
共用物の「管理」は民法252条で、保存行為、利用行為、改良行為からなり、修繕は保存行為の一部である。
賃貸物件からの連想で貸主は修繕義務がある(民法606条)と誤解するのかもしれない。606条は無償ならば適用されない。
また管理規約では修繕に限らず、管理はすべて管理組合の業務になっている。
